柿ノ木坂東豊エステートと同じように、五社に対する建設会社の提案型コンペディジョンによって工法と工事施工会社を決める方法をとった。ここでもまた、耐震補強部位を限定したにもかかわらず、五社の提案はそれぞれに異なっていた。各社の構造技術者と面談をし、それぞれの考え方を聴取した上で耐震補強の統一基準仕様を整理し、その統一仕様に対する見解と工事費の再提示を要請したが、期待以上の展開があった。マンションを建設した大手ゼネコンが私の作成した統一仕様に対する補正案を提示し、具体的な耐震設計を三〇万円という格安な費用でおこなうという申し出をしてくれたのである。
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補強工事は大規模修繕工事と同時におこなうものの、大手ゼネコンが中堅の他社に伍して工事を請け負うのには、工事費の点で難しい面がある。この点に関して、管理組合がどこまで理解を示せるかは私の案ずるところであったが、さまざまな条件を考慮した上で、管理組合にとってもっとも望ましい方法を大手ゼネコンがとってくれた。こうして、最終的にはマンションを建設した大手ゼネコンの耐震設計によって、そのゼネコンとは別の中堅の建設会社が外壁の大規模修繕工事と一緒に耐震補強工事を実施することができた。ライオンズマンション下赤塚での経験は「マンション建設を担ってきた建設会社は、マンションの耐震改修に向けて、会社内に蓄積された技術を管理組合に積極的に提供すべきである」という私の考え方に大きく応えてくれる結果となった。耐震補強工事に要した費用は三六七万円、一住戸あたりにすると六万円である。