熊本県営保田窪第一団地

2011.12.09

有名建築家は、今や大規模な公共建築を次々と手がける大文字の建築家の1人だが、彼の初期の作品は、住宅や集合住宅が中心だ。それらはいずれも住宅と社会の関わり方から考察された、きわめてユニークなものが多く、中でもテントによる軽いルーフを建築の頂部にふわっと架けたような建築群は印象深い。とくに「GAZEBO」や「ROTUNDA」などが有名だが、それらは、都市における屋上空間を大きな半透明のテントで曖昧に覆うことによって、都市に広がる屋上空間の秘められた魅力や、そこに展開するノマディックな都市居住の可能性を、空間のイメージとして表現していたのである。

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それはどこか新しい集落の出現を見るようでもあった。しかし、そこに潜在していた彼の住宅に対する指向性は、その後展開する「岡山の住宅」や「葛飾の住宅」によって、さらに鮮明に提示されることになる。その思想的背景は、ほぼ同時期に発表された彼の家族論に詳しい。つまり個人主義が完全に浸透してしまった社会において、家族という枠組みがすでに崩壊していることを指摘し、その器としてある住宅も変わらなくてはならないとする主張である。まず個人が前提としてあって、その個人が直接的に社会と関わっているという状況の中で、家族はあくまでもその個人の緩やかな関係としてあるというのだ。だから、居間が街との接点としてあって、そこから個人の部屋へと分岐していくような空間構成は、変わらなければならないと。