家に入るときは靴を脱ぐのを習慣としているはずの日本人が、どうしてこんな無礼をしでかしてしまったのか。答えは簡単。その家の玄関が、上がり框のないフラットな洋式のものだったからというにすぎないのである。日本人は玄関に入った瞬間、無意識のうちにそれを判断しているようだ。逆に日本在住の外国人は、玄関で靴を脱ぐか脱がないかということに、一種の緊張感を持って暮らしている。だから、彼らは玄関に入るとすぐあたりに目を配り、靴を脱ぐべきかどうか判断できたのだと思う。
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わたしは海外の日本人の家でもこれと同じ失敗をくり返した。そのときも洋式のフラットな玄関(海外にあるのだから当たり前だが)だったので、そのまま土足で入ってしまったのだ。「海外の上がり框のない西洋住宅に住んでも、大半の日本人は靴を脱いで生活しています」とわたしはいった。「それは非常に多いらしいですね」「家では靴を脱ぐものだという日本人の根強い意識は、どこからくるんでしょう?」もし、戦後住宅のひとつのモデルとなった2DKの公団住宅に上がり框がなく、土足で入るようなつくりになっていたら、そしてそれが合理的なのだという啓蒙がなされていたらどうだっただろう?現在の住宅が完全な欧米化を果たして、玄関で靴を脱ぐという習慣を日本人は捨てていたか?それとも、海外に住む日本人のように、フラットな玄関口にもマットを敷いて、その上で靴を脱いだだろうか。