入居して間もなく、理解しにくい住み方が現われる。二階の座敷に絨毯が敷かれ、ソファーセットがおかれ、つまり、玄関脇の洋風応接間のようにしつらえられたのである。椅子の高さに合わせて火鉢を置くための小卓子も用意された。男性客のズボンの皺が気になったというのだが、格式ある座敷への思い入れよりも、また、祖父が設計時に拒否したスタイルであったにもかかわらず、洋風応接間の接客のスタイルに則ることを優先させたということになる。
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床の間と違い棚を背に、ドイツ人の来客と祖父がスリッパを履いて並んで立つ珍妙な記念写真が残っている。そのしつらえはじつはずっと変わらなかったのだが、私の子どもの頃はそこにスリッパであがることはなく、その真ん中で坐式で接客することの方が多かっか。